牛乳100mlには約100㎎のカルシウムが含まれていますが、これが骨を強くするのは錯覚であるというのが牛乳有害を唱える基本になります。
まずマグネシウムが圧倒的に少ないという点、これは10㎎程度しかありません。
また現代人において最も少ないミネラルの一つがマグネシウムです。
そしてもう一つは脱灰です。
骨は常に再構築されており骨形成と骨吸収されています。これを規定する主要ホルモンがカルシトニンとエストロゲンなわけです。
脱灰とは血液中のカルシウムが足りなくなると骨から引き出してくる行動です。それがまた骨に戻されるのが再石灰化、違うところにカルシウムが蓄積すれば異所性石灰化です。
そして脱灰を誘発するものがホルモンだけでなく、PHの変動であったり、リンであることが指摘されています。
骨はリン酸カルシウムとリン酸マグネシウム、そしてタンパク質が結合してアパタイトという組織を作り、骨を強靭化しています。また様々なほかのミネラルも骨を作るために働きますし、逆に砂糖などは骨を弱くすることがわかっています。
牛乳に含まれるリンとタンパク質は血液を酸性に傾け、カルシウムを失わせる方向に体を進めます。
牛乳には母乳の6倍くらいリンが含まれていると言われますし、実際にPHは変わらなくてもそれを代償しなければなりません。その結果世界中の多くのデータで、牛乳を飲む人々の方が骨が弱いというデータが多いです。
また乳糖不耐症がある場合、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解できないといわれ、この場合牛乳に入っている栄養素を利用することも難しくなります。
こういう分子栄養学の理論をもとに牛乳は骨に悪いと言われるわけです。
また添加物にはリン酸塩などが多いですが、この添加物も骨を弱くする可能性があることが指摘されています。
砂糖の摂りすぎも乳酸の産生を促し、これはPHを下げる要素があるために中和として脱灰を誘発すると言われます。
こうやってみると骨を弱くする作用は一つに規定するのが難しいですが、通常考えただけでも牛乳は骨を強くする作用は乏しそうで、さらに日本人は世界一乳糖不耐症が多いですから、世界一牛乳があわず世界一牛乳で骨が弱りやすいといえるかもしれません。
その様なデータや論文は多数ありますが少しだけ紹介しましょう。
ハーバード大学で78000人の女性を対象に12年間追跡調査を行った結果では、乳製品を接種するほどに骨折が多く、大腿骨頸部骨折の増加の危険度は乳由来のカルシウムに関係している。
イエール大学の研究では、骨粗鬆症は乳製品や肉を多く摂取する、アメリカ、スウェーデン、フィンランドが多い。
一日1000mg以上カルシウムを摂取するアメリカ移民黒人は、平均296mgしか摂取しない南アフリカ黒人よりも、大腿骨頸部骨折が9倍多い。
アメリカ国立衛生研究所の研究では、動物性たんぱく質を最も多く摂取していた女性は、植物性たんぱく質を摂取していた女性よりも、骨量の減少と大腿骨頸部骨折のリスクが3.7倍高かった。
沖縄の三大学共同研究では、沖縄の100歳以上の老人が、乳製品をほとんど取らないのに、股関節の骨折率が非常に低いことを発見。
乳製品をあまりとっていない地域ほど骨粗鬆症が低く、カルシウムの摂取減として、大豆や海藻、キャベツやブロッコリーの価値を推奨している。